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カピバラに詳しくなれるサイト


カピバラって、なぁに?




カピバラという動物


分類:齧歯目 テンジクネズミ科
学名:Hydrochaerus hydrochaeris
和名:鬼天竺鼠(オニテンジクネズミ)
生息状況:ふつう種

カピバラは、動物園や水族館で見ると、犬の様に大きくブタの様に太っていますが実はネズミの仲間です。ネズミの仲間を齧歯目(げっしもく)と分類するのですが、カピバラは地球上に現在生息する最大のねずみです。南アメリカのパナマからアルゼンチン北東部にかけ、川のほとりの草原や湿地帯に生息しています。


(カピバラの生息地域)


大きさは、犬の様に四肢で立つと鼻の先からお尻まで(体長)が1.0〜1.3m、地面から肩までの高さ(肩高)は50〜62cm、体重は35kg〜65kg、国内動物園(埼玉県こども動物自然公園)では、77kgを計測した報告事例がありました。

大人のカピバラの体表面は、タワシの様に硬く長く褐色の毛で地肌が見える程度、まばらに生えています。子供のカピバラは、短く軟らかい毛がびっしりと生えています。特徴的なことはネズミなのに見える尻尾はありません。目に見える尻尾はありませんが、骨格標本で見ると存在する事が分かります。メディアでカピバラのお尻に少し盛り上がっている「カピバラのツボ」を撫でると、こてんと寝転ぶ話題が出ますが、ツボとは尻尾の名残の部分なのです。



四本の足は短く、前足は後ろ足より短かいです。指の数は前足が4本、後足は3本と本数が異なり、指の間には小さな水かきが付いています。

大きな鼻と鼻の穴の割に、小さな耳と眼がちょっと不細工な顔を演出していますが、まつ毛が長く愛嬌がある顔です。



大人のカピバラの性別の見分け方は性器とは別に鼻の上にある黒色をしている毛の生えていない卵型のモリージョ(スペイン語の小さな丘の意味)と呼ばれる突起物があるのがオスのカピバラです。メスにはほとんどみられません。このモリージョは子供には見られません。モリージョから白くねばっこい分泌物を出して木などに擦り付け自分のテリトリーに印を付ける役割と交尾期になるとメスを引き付ける役割があるようです。

このモリージョの様に臭いを出す臭腺が、もう一か所オスメス共に肛門の両側に一対の袋があり、そこからも分泌物を出します。この分泌物の臭いは個体により違っていてカピバラ同士では臭いによって個体識別に役立っているといわれています。


(カピバラの性別見分け方・モリージョ)


カピバラは状況に応じて鳴声が違います。赤ん坊や子供のカピバラは常にのどを鳴らす様な「キュルキュル」という声を出し群れのメンバーや母親との接触を保っています。又、この声は大人になっても発せられ仲間との親和的な時に発せられます。

動物園では飼育員さんが餌の準備をしている時などに聞く事も出来ます。又捕食者や危険を察知し威嚇する際は「ゴッゴッ」と言うような咳払いの様な声を出します。この咳払いの様な声は繰り返し発し、更に危険が迫っている事を群れの中に知らせる時は、大きな鳴き声で「ホー!!」と繰り返し鳴き続けます。近くにいる仲間は一斉に立ち上がり水の中へ逃げ込みます。

しかし、避難場所の水中でもワニなどにも狙われています。野生での捕食者とは、地上からはジャガーやアナコンダ、上空ではコンドルなども狙っています(特に子供のカピバラ)。

猛スピードで走り回りまわることもあります。意外にも普段おっとりしている様に見えるカピバラも敵が襲ってくる様な時、死に物狂いで走ると、とても速く走る事が出来ます。時速50km/hとも言われていますが、私が野生で見た最高の体感は40km/hぐらいでした。ただ長距離は走ることが無く、あくまでも瞬間的に短距離を走る最高速度です。

寿命は野生で約5〜10年、飼育下だと10年以上生きるものもいるようです。

カピバラの名前は、南アメリカのインディオのツピ族が使うグアラニー語からきていて草原の支配者という意味です。ツピー語のカッピン(草)ウバアラ(食べる)という語源説もあります。どちらにしても草を沢山食べるイメージだった様です。



カピバラの行動や習性

野生のカピバラはとても暑い南アメリカに住んでいますが、どちらかと言うと暑さに弱い動物です。ですから一日の行動も暑さと上手に付き合いながら過ごします。

カピバラの朝は早く涼しい内に川岸のスイレンの葉や果物などを探し食べます。草食動物ですから、木の皮は種子・葉っぱなども食べます。

日中は暑さを避けるために茂みの日陰や、水の中で佇んだり泳いで過ごします。カピバラは他のねずみとは違い巣穴を作りません。自然に出来た地面のくぼみに草や葉っぱを引きつめて居心地を良くしてゆっくりと寝ています。そして暑さが弱まった(早朝も)夕方に又食事して、夜はゆっくり寝ます。

野生とは対照的に動物園のカピバラは敵がいる訳でも無いので餌時間中心の生活です。多くの動物園では開園直後が午前中に餌を上げるため、開園直後にカピバラを見に行くとすでにソワソワしている感じです。

カピバラは食事をした後は夕方まで日向ぼっこをしています。そして閉園直前に又お腹が空くのか活動を開始します。以前は動物園にカピバラを見に行くとのんびりしている時間帯が長かったのですが昨今は展示施設や方法の工夫により寝ている以外の姿も容易に見ることが出来ます。





カピバラは泳ぐのが得意です。水中に潜る際は器用に耳と鼻の穴を閉じて泳ぎます。水面を泳いでいるカピパラの顔を横から見ると、耳・目・鼻が一直線についており水面より出したまま泳げます。これは泳ぎながらも敵の気配を察知する為に役に立っています。そして水遊びが終わると、犬の様に大きく体をブルブルとして水滴を払う事によって体にはほぼ水は付いていない状態になります。これはカピバラのまばらに生えた毛のお陰です。

毛の密度が低いために地肌についている水や毛について水までも、簡単に払えますし乾燥も短時間で出来るのです。

暑い日に動物園のカピバラを見に行くとお腹を出して横になったり、地面にぺったりとしている姿を観察できます。この姿を見て人間ぽいとか親父ぽいとの感想を受けますが冷たい土や地面に体の設置面を少しでも多くして体を冷やしているのです。

水の好きなカピバラ、動物園のカピバラ達は雨の日はどうしているのでしょうか?
水の中を巧みに泳ぎ、水を安全の場所と考えるカピバラなら楽しく雨の日をシャワーのこどとく楽しんでいると思いますが、答えは全く逆で屋根の付いている場所に一箇所に固まりじーと雨のやむのを待っています。その姿は傘を忘れて雨宿りしている様で、ちょっと不思議ですね。

暑い南アメリカ出身ですので寒さには弱い様です。動物園の中でも寒い地方の動物園は冬の間は外に出さないで室内のみで展示や飼育する所もあります。人間と同じように寒い時は小刻みに身ぶるいしますし、鼻水も流します。寒い日は一箇所に集まって寒さを凌いでいる姿も見られます。その温かい中心の場所は子供達で風にあたる寒い場所・壁の役割は大人達です。



カピバラは野生では水の中で排泄する事が多いですが、動物園でも排泄は池やプールの中で行う事が多いと言われていますが、昨今は例外もあることが確認されています。

敵がいない動物園飼育状態ではあまり関係なくなってきているのかもしれません。


集団生活と子育て

カピバラは平均10〜20頭で群れを作り集団行動をします。その中心となる強いオスが1頭にメスが数頭とその子供たちで家族を形成していますが、独り者のオスやつがいだけや子供連れのつがいなどもみられます。

中心となるオスは、誰でもひとめで判断出来ます。オスのシンボル額のモリージョが集団の中で一番大きいのです。独り者のオスはそれとなく群れに入り込もうとしますが、集団のオス達に撃退されます。ひとり物のオスは群れを渡り歩いたりします。

乾季にはは、いくつもの集団が水の残っている湖や沼に集中して生活する為に、一時的に集団は100頭を越すこともありますが、ふたたび雨季になると大きな集団は解散して、もともとの小さな集団での生活に戻ります。

この小さな集団は閉鎖的なまとまりをもち、中心となるメンバーが変わったり中心のオスが変わる事はめったにありません。

カピバラは、家族の団結が強い動物です。子供が他の動物達に襲われそうになった時は大人のカピバラが子供のカピバラの周りを取り囲むように盾になり移動を行います。

ちなみに、動物園でも同じようなエピソードがあります。飼育員さんが子供カピバラの健康診断をしようと捕まえようとしたところ子供が抵抗して鳴き出したそうです。すると大人のカピバラ達がいつも餌をくれている飼育員さんの周りを取り囲み威嚇の鳴き声ゴッゴッと近寄ってきたそうです。

集団行動するカピバラですが、行動範囲は意外と広く10〜20haです。ちなみにhaとは一辺が100mの正方形の面積にあたります。基本的にはなわばりの様なものが存在していて1つの集団行動圏はその集団が主に使うのですが、乾季になると他の集団と一緒に生活・採食します。


(生後2日目のカピバラ、大人と比べると小さいが体長20〜30cmはある)


カピバラの妊娠期間は約150日で、最高7頭までの赤ん坊を生むが平均すると4頭を出産します。野生化では出産の際メスは集団から離れ近くの草むらで2〜3時間かけて出産します。生まれたカピバラは体重は約1.5kgだいたいティッシュケースと同じぐらいの大きさです。生まれた時にすでにびっしりと毛に覆われて、歯も生えていて目もしっかりと開いていて歩くことも出来ます。大人と違って細く茶褐色をしていてとてもやわらかい毛です。

3〜4日で群れにも加わります。移動の際歩くのは容易でも泳ぐ事は未熟な為、大人カピバラが背中にのせて泳ぐ姿が野生化では目撃されています。早熟で一週間もすると草なども食べることが出来ます。

カピバラの赤ん坊は集団の中のどのメスからも乳をもらいます。つまり自分の生んでない群れの子供にもメスのカピバラは授乳し一緒に育てる訳です。この行動は動物園でも見られますが、何故か人気になるメスがいるものです。カピバラは約18ヶ月で性成熟に達します。



子供同士はじゃれあったり時にお相撲をとる様な取っ組み合いをします。別に喧嘩をしている訳ではありません。後ろから覆いかぶさる様にし相手より強い事を示そうとしている様です。

ベネゼイラやコロンビアでは1年中繁殖し、繁殖のピークは雨季の初めのようです。だいたい一年に一回繁殖するようです。交尾は水の中で行われます。


カピバラの食生活

カピバラは完全な草食動物です。

野生では牧草や木の実、樹皮を食べています。カピバラの前歯はとても硬く長いので、短い草や硬い木の実なども食べる事が出来ます。一日に約3kg程度食べます。

動物園では青草の他に人参、サツマイモ、キャベツ、林檎などの野菜果物と草食用ペレットを与えます。動物園で青草は季節によって確保出来る量も違うので他の野菜などで分量は調節します。青草は他の食べ物よりも食べる時間がかかる為に、動物園で退屈しているカピバラには時間をかけて食事させる大切なアイテムです。

硬い笹の枝や芯の部分でも鋭い歯でバリバリと音を立てて噛み砕きます。野菜や果物は食べやすい一口サイズに切り分けて餌にしますが、カピバラ同士が餌を取り合いにならない様に分け易くする為で人参などでも簡単に噛み切れます。

ペレットとは乾燥草や穀類の混合物を特殊な機械にかけて加圧し固形にしたものです。とても栄養バランスのとれた食べ物のため、人間でいう補助栄養食品の様な役割も果たします。動物園で与えている、変わった食べ物には、スイカやバナナ・食パンなどもあります。



又、飼育舎や餌箱の片隅に茶色や白色のブロックの様なかたまりを見たことはないでしょうか?カピバラだけでなく多くの動物に小屋などにひっそりと置いてあります。これは鉱塩という塩の塊です。カピバラも人間も同じで塩やミネラルを補う為にあります。何時でも自由に摂取出来るように置いてあり、偶に一心不乱に舐めているカピバラを見ることが出来ます。



(動物園・カピバラごとに齧る対象は違うようだ・・・好みでしょうけど)


動物園ではカピバラが食事を終えると、硬い木を齧ったり・時には小石をコリコリ噛んでいるの見ることが出来ます。それはまるで食後の歯磨きの様ですが、実は前歯を削っているのです。

カピバラだけでなくネズミの仲間げっし目は、一生前歯が伸び続ける習性があります。その歯を自分の長さに合うように常に、硬い物を噛んで歯を短くしているのです。もし歯が伸びすぎると噛み合わせが悪くなり食べ物を食べれなくなり、栄養失調などになり死んでしまいます。

動物園では小さいネズミの場合には歯が伸びすぎた場合ペンチなどで治療の為に強制的に折ることもあるそうです。このため動物園では飼育舎に小石や硬い木などをわざわざ置いてある訳です。

ちなみに削った歯はとても鋭く、ゴムホースを噛むと穴を開けれる鋭さです。又顎の力も強く、噛み付いた顎の力だけで自分の体を支え足を中に浮かす事が出来るのです。もし、カピバラの機嫌が悪くて指でも噛まれたらと思うとぞっとします。